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2011年 04月 03日

山本理顕氏と学生達の提案

Y-GSAの前校長である山本理顕氏が今回の東日本震災を受けて、Y-GSAの学生たちと共に考え始めた「仮設住宅に関する提案」(提案図はこちらから)を紹介いたします。


2011.3.25
東日本大地震のあと横浜国立大学大学院都市建築スクール(Y- GSA:Yokohama Graduate School of Architecture)
の学生たちと話をしました。Y-GSA:山本スタジオのブログにそのときの模様を簡単に記しました。
学生たちがつくった仮設住宅の提案と共にご覧下さい。

仮設住宅の建設は既に始まっていますが、これからさらに膨大な量が建設されます。
できれば是非、こうしたアイデアを実際の現場に役立てたいと思います。
建設コストがこれによって高価になるということはないと思います。

敷地の条件によって変更はあるにしても、基本的な考え方は踏襲できるのではないかと思います。

山本理顕



「M1藤末の呼びかけで、昨日、Y-GSAスタジオに集まって、他の大学からの学生も含めて7〜80人位の人たちと話をした。
何か今できることをしたい、というみんなの焦がれるような思いがスタジオの中に充満していた。言葉に出してもその思いは到底伝えきれない。だからとても静かだったけど、それぞれの人たちはそれぞれに十分に沸騰しているようだった。
今、何ができるのか。
話し合ったことを私なりの解釈と共に簡潔に言う。

①今の日本の統治システム・生活システムの全面改革
今回、最大被害を受けた東北三陸海岸からいわき市から九十九里あたりまでのちょうど真ん中に福島原発がある。この福島原発が東電の電力供給の心臓部である。原発は安全だと言い張ってきたくせに東京から200㎞も離れた場所につくって、これほどの事故でも放射能の被害を受けない距離がしっかり保たれている。私たちはその福島原発から電力供給を受けてふんだんに電力を消費するような生活をしてきたわけである。こうした供給環境と消費環境との関係を変える必要がある。そのためには従来のインフラとそのインフラに支えられている生活施設という考え方そのものを変える必要があるはずなのである。インフラの整備は統治の根幹である。そして生活施設は私たちの日常生活の根幹である。それを変える。という最も原則的な問題が根底にある。

②地域社会の復興
災害復興は単に住宅建築の復興ではない。壊されてしまった地域社会の復興である。津波で流されてしまった住宅には映像で見る限り、プレハブ住宅が多く含まれている。つまり多くの人は「1住宅=1家族」を自分たちの責任で完成させて自分たちで守って、それを中心に生活してきたのである。自分たちで誰の援助も受けずに生活してきた人たちが最大の被害者になったのである。国家の原発に対する資金援助は莫大である。それに対してこうした生活者に対してどれだけのことをしてきたのか。ほとんど何もしてこなかったに等しい。こんな大災害に「1住宅=1家族」は全く無力である。今の行政システムが無力なのである。
復興計画は「地域社会圏」をつくることだと思う。かつてここにあった地域社会と同じくらい強くて、もっと自由な地域社会である。それをつくる。その計画こそ私たち建築家の役割である。

③仮設住宅
仮設住宅といっても、これから3年4年、その仮設住宅に住まなくてはならない。もはや単なる仮住まいではない。単に「仮設住宅群」をつくるのではなくて、生活のための「街」をつくる。「地域社会圏」をつくる。今までY-GSA生と話をしてきたことを実現するようにつくる。
・住宅は向かい合うように配置する。
・玄関は透明ガラスにする。
・誰でもお店を開けるようにする。(うどん屋さん、修理屋さん、電気屋さん、喫茶店、居酒屋等々)これは透明な玄関と関係する。
・小さな公共施設(高齢者、子供、障碍者のための施設)とコンビニを一体化させる。ボランティア事務所を兼ねる。
・エネルギー源を同時につくる。コジェネ、ソーラーエネルギー、バイオガス、小さな水力、風力発電。その熱源を使った銭湯。ランドリー。
・「地域社会圏」の中の電動軽車両、今、日産自動車、山中さんと一緒に考えているようなものだけど、ものや人を運べるようなアシスト付き(アシスト付きじゃなくてもいい)三輪自転車がいいと思う。
もっと他にもいろいろアイデアはあると思うけど、単に仮設住宅群ではない、生活のための場所だということが重要である。

④私たち自身の生活習慣
隣の人と挨拶するような生活が日常の中にあるからこそ、彼らはこれほどの災害のあとを見事にしのいでいるように見える。国家は手をこまねいている。これほどの非常事態にあって、国民に語りかける言葉をメモを見ながらじゃないとしゃべれない、そういう日本の指導者の姿が今の国家行政を象徴している。培ってきた地域社会の力がそれを救っているのである。
私たち自身の日常を変える。遠くのインフラでつくられたエネルギーを浪費するような日常の生活を見直す。
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by the-road-of-japan | 2011-04-03 10:33 | ?緊急仮設住宅への提言


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