2011年 03月 31日
2011.4..1 東北関東大震災被災地状況報告 塩崎賢明 以下は、3 月末に塩崎が岩手県大船渡周辺を訪問した際の状況を報告である。 ●日程 2011 年3 月28 日(月)~31 日(木) ●行程 3 月28 日 大阪→東京、八重洲口から夜行バス23:10 発(往復13500 円)、 3 月29 日 6:30 盛岡駅着、盛岡駅発8:30(バス往復4000 円)、遠野経由、大船渡病院前着11:30 大船渡市副市長と面談、復興局職員から情報入手、 市役所でインターネットが通じないとのことで、b-mobile3G が有効なことを紹介。早速 注文。これでネット環境が復活したかもしれない(未確認)。 大船渡・陸前高田の被害状況視察 3 月30 日 三陸町(大船渡と釜石の間にある町)の集落視察、 15:00 バスで盛岡着18:00、盛岡発22:15 夜行バス 3 月31 日 東京着5:50、東京→神戸 ●現地の活動環境 佐藤隆雄氏(大船渡出身、埼玉県在住)が友人たちと一足先に入っており(10 トントラックで物資供給)、 市役所の復興局を拠点に活動しており、彼 らの車で、被災地を視察。 関東在住の大船渡市出身者(盛小学校の同窓生一同)が、故郷にもどって、実家のケアや支援活動を行 っている。久しぶりにみなが再会し、同窓会もやったという。 29 日の夜は、盛小学校出身のN さんの実家に宿泊させていただいた。シャワーあり!豪華朝食。 佐藤さん自身は、かろうじて水につからなかった実家の2 階に寝泊り。食材もなく、避難所のおにぎり で食いつなぐ状態。 ●ガソリン事情 盛岡~大船渡あたりでは、3 月30 日の段階でほぼ制限なく平常。セルフ給油も営業している。現地に 迷惑をかけずに、被災地入りが可能な状態になりつつあり、後述のように、なるべく早く瓦礫が残って いる間に、被災状況を見たほうがよいと思われる。 ●大船渡市内の状況 細長い湾に面した中心部は壊滅状態。 現在は、道路開削がある程度できて(至る所で通行不能だが)、瓦礫処理が徐々に行われつつある。 地震の揺れは、縦横両方で2 分くらいのものが5~6分おいて2回来た、その後、30~40分で津波 が来たという(市内の被災者の話)。 大船渡湾の入り口には湾口防波堤があり、市民の多くがこれがあるから安心と思ってきたが、湾を望む 高台に住む女性によると、津波は防波堤を乗り越え、「ナイヤガラの滝」のようだったという。その後、 引き波で防波堤は破壊され、今は姿が見えない。地震後、自分尾家から見る海が近くなった(海面が上 昇した)ように思え、海の色が黒くなったようだという。 ●巨大な丸太による津波被害 津波の被害は、壮絶で、大船渡では、特に湾にあった貯木場の巨大な丸太が大暴れして、あらゆるもの を破壊している。残っている建物に大小の丸太が 突き刺さっている。 津波は、波の速さや深さだけで議論するのは不十分で、浮遊物による破壊が大問題。木造・鉄骨造はも ちろん鉄筋コンクリートの建物も破壊されている。直径50cm~1m、長さ7~8mの巨木が高速で 激突すれば、あらゆるものが破壊されよう。 ●津波避難タワーの見直し必要 この点で、和歌山県や三重県で進められてきた、鉄骨造の「津波避難タワー」なども見直す必要がある。 高さ10mくらいの鉄骨の櫓に多くの人が逃れたとしても、そこに船や丸太が激突すれば、簡単に鉄骨 は折れ曲がり、避難した人が犠牲になる危険性がある。 ●陸前高田 大船渡以上にひどい状況で、完全壊滅。地上に立ち残っているものがほとんどない状態。町中が瓦礫の 山で、道路開削が部分的に行われたまま、訪問した当日はまったく人気がなく、撤去作業も行われてい なかった。 大船渡から三陸縦貫道を経て陸前高田に入ると、海岸から1~2kmのあたりで、階段状の田畑が池の ようになっており、水はなめてみると塩辛い。 近くの道路が基礎から破壊されており、道路橋の桁が津波で下から持ち上げられ落下している。そこか ら市街地に入るとまったく瓦礫状態になる。 ●鉄筋コンクリートアパートの被害 海岸から200~300mの辺りに(ただし、元の海岸がどのあたりだったか不明なので、この数字は 留保)鉄筋コンクリート5 建ての比較的新しい板状のアパート2 棟が、海岸に平行して、海岸から山に 向かって並んでそびえているが、よく見ると、完全に破壊されている。このアパートは雇用促進住宅で、 躯体だけが残っているが、4 階までの窓ガラスはなく、内部はむちゃくちゃな状態。鉄の扉も吹き飛ば されている。5 階のベランダ、窓は残っているが、内部には泥・砂がたまっている。おそらく、4 階辺 りまで津波が速いスピードで押し寄せ、最終的に5 階まで水位が上がったと思われる。 通常、鉄筋コンクリート建物の3 階以上なら大丈夫といわれてきた常識は今回の津波にはまったく通用 しなかったと言わざるを得ない。もしこの常識に従って、アパートの住民が上階に避難していたとした ら、助かったのかどうか。 ●避難所 高台にある陸前高田第1 中学校が避難所になっており、ここには多くの人がいる。 避難所内には、校舎の各部屋の利用用途や運勢組織図が張り出されてあり、整然と運営されているよう に思われる。運営のリーダーは、元市の職員で、その下には校長など、現役教員が配置されている。(詳 しい話を聞いたわけではないので、要保留) 自衛隊の給水車やマスコミの大きな車が構えている。 ●仮設住宅 中学校の校庭に、仮設住宅建設中(6 戸×6 棟)。仮設住宅の基礎は松杭で、外見からは、居住性は最低 限の水準と思われる。 ●三陸町越喜来(おきらい)地区 市街地が完全に破壊されており、地上から立ち上がっているものがほとんどなく、陸前高田と同じよう な状況。しかし、ここでは瓦礫処理作業が活発に行われている。海岸の護岸などが基礎部分から破壊さ れ、分厚いコンクリートの壁などが転がっている。海岸からはなれた高台の斜面のかなり高い位置にあ る木の枝に多くのごみが引っかかっており、津波が到達したレベルが知れる。 ●三陸町吉浜(よしはま)地区 ほとんど被害のない地区。(流失した家屋数件、行方不明者1 人。)ただし、ホタテや昆布の養殖いかだ は流され、壊滅。 この地区は、明治三陸津波(1896 年)で被害を受け、その後、低地の集落をすべて高台に移転し、元 の地は農地にしたという。そのおかげで、人命や住宅の被害はすくなく済んだという。 海岸に近い高台の家に住む老婦人によると、津波は正面から押し寄せ、防波堤を乗り越え、農地に入り 回りこんで、自分の家のすぐ下までやってきて逃げたという。防波堤は引き波で壊され、なくなったと いう。昭和8 年の津波やチリ津波(1960 年)のときとは全く違って、自分のところまで来るとは予想 もしなかったという。 ●追記 バスは、被災地域のガソリンを消費せず、公共交通で安上がりにいける手段として、有効。 東京―盛岡間は15 台ものバスが同時に運行(予約必要。ネットで可、席はあるが満員状態で、ややハ ード)。盛岡~大船渡も2 台運行(予約不要、比較的快適)。 現地の食糧事情は、まだら状態。避難所でもおにぎりだけといった状況があるようで、満足な食事がな いもよう。また、大船渡市役所の玄関には古着なども集められており、被災者が選んで持っていく状況 が見られた。まだまだそういった物資が十分ではない模様。 盛岡市内の店などはおおむね平常状態。大船渡市内では、飲食店も営業しており、焼肉屋もある。)
by the-road-of-japan
| 2011-03-31 00:02
| 被災・復旧状況
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