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2011年 04月 12日

菅首相の官僚外しと原発危機対策

【ウォールストリート・ジャーナル】菅首相の官僚外しと原発危機対策―【私の論評】アメリカは菅政権をどう見ているのかがわかる?
「コメントのありましたyutakarlson氏の ブログより転載させていただきました。」

菅首相の官僚外しと原発危機対策

原発視察後に記者会見する菅首相
今回は、上記タイトルで掲載された、ウォールストリート・ジャーナルの要約を以下に掲載します。

菅直人首相は、震災で停止した福島第1原子力発電所の危機対応のため、旧来の官僚主体の指揮系統を排除し、独自にアドバイザーを招請して特別対策チームを設置した。このことは、キャリア官僚の怒りを買うとともに危機管理を誤ったとの首相への非難が強まっている。

災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。

3月11日の地震と津波以降にとった一連の措置を通じ、菅首相は、過去数十年にわたってキャリア官僚が政策策定を主導してきた日本で、国を統治する新たな方法を事実上試運転しているといえよう。

だが首相が現地視察に向かったことが過熱した原子炉の爆発を食い止める初動の遅れを招いたと指摘されている点を含め、自ら陣頭指揮しようとする首相の決意が危機を一層悪化させたとの批判が起きている。

菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からないけれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。

福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさせる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分けてあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混乱を指摘した。

東電と政府は、震災と事故への初期対応について批判にさらされている。菅首相はそうしたつまずきを、自ら陣頭指揮に当たることを正当化する理由にしてきた。首相周辺によれば、断固たる措置をとる以外、首相に選択肢はなかったという。

菅首相の側近トップである枝野幸男内閣官房長官は取材に対し「今回の災害対策では、通常の行政システム、時間の掛け方では対応できなかった」とし、政治が従来の手順や段取りにこだわらず判断することで一定の効果があったと弁明している。

政治的な非難の応酬に距離を置く人々の中にも、菅首相の政治主導の原則を評価する一方で、その原則を実行に移す際にあまりにも多くのことを自分でやろうとしたことで、つまずいた、との見方がある。

日本大学の政治学者、岩井奉信氏は、「民主党は危機管理のノウハウが弱い」、「素人だったことがマイナスになっている」 と語る。

日本共産党が発表した会談筆記録によると、菅首相は先週、共産党の志位和夫委員長に対し、「『原子力村』というか、ある種、専門家のギルド的な雰囲気がある」と語っている。

地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝えた。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報を取って、その場で命令を出せるようにした。

こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみられる。

首相サイドは東京都の消防隊の派遣を、新体制が機能している例として挙げているが、それ以前の、過熱する使用済み燃料プールの冷却を試みて失敗した機動隊高圧放水車の一件を批判する向きもある。

元警察官僚で自民党衆議院議員の平沢勝栄氏が首相官邸や一部民主党議員から聞いた話では、官邸はまず、機動隊放水車を派遣するよう命じたという。平沢氏は、そこは当然官邸に責任があるとし、放水を専門にしているのが消防であることは子どもでも分かると述べている。

四方敬之内閣副広報官は、まず消防を呼ぶべきだったと思った人もいるかもしれないが、内閣府はその時点時点で最善と思われる措置をとってきたと述べている。

放射線データ公表の遅れの責任が誰にあるのかについても、双方の言い分は食い違っている。政府の原子力安全委員会はようやく23日になって、福島第 1原発周辺20キロ圏内の避難地域の外でも放射線濃度が高いおそれがあると公表した。このデータ発表を受け、政府は原発から30キロ圏内の住民に避難 支援を提供することにした。

首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。

元官僚で衆議院議員の前出・福島氏は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。

震災翌日12日午前7時ごろの菅首相の福島第1原発視察をめぐっても議論がある。菅首相は、床の上に毛布にくるまって眠っている作業員の脇を通 り抜けて、小会議室で原発施設の幹部2人と20分間にわたって会談した。ある側近によると、首相は技術的質問をし、過熱する原子炉を冷却する方法について アドバイスしたという。

問題は、この視察のせいで1号機のベント開始が遅れたかどうかだ。原子力安全・保安院が発表した時系列記録によると、11日午後10時の時点には、 保安院当局者は、翌日早朝には1号機原子炉内部で炉心が溶け始めると予想し、圧力を下げるための緊急ベント開始を要求していた。だがベントが始まったの は、菅首相が現場をあとにした数時間後だった。

菅首相は、視察のせいでベント開始が遅れたことを否定した。政府当局者は、遅れの原因が、電源喪失後に手動で弁を開くことの難しさと連絡上の問題にあったとしている。

官僚の不満が募るなか、菅氏の長年のアドバイザーだった北海道大学の政治学者、山口二郎氏は先週、首相官邸に緊急面会を申し入れ、官邸で40分間会談した。山口氏と同僚の北大教授は菅首相に、官僚の活用を強く促したという。

山口氏は首相に、「責任追及をしている時ではないといった」という。同氏によると、菅首相は、一部始終を伝えてくれないから官僚は信用できないと改めて不満を漏らし、会談は不本意な結果に終わったという。

しかし、首相側近はこの助言を受け入れる兆しをみせており、民主党が政権に就いて以後廃止した事務方トップの会合を復活させた。この会合は目下、震災救援・復興に関する政策の調整に当たっている。

http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_219448

【私の論評】アメリカは菅政権をどう見ているのかがわかる?



左は、ウォールストリート・ジャーナルに掲載された、菅首相の支持率のアンケート調査結果と、今回の原発事故においてリーダーシップを発揮したかどうかのアンケート調査結果。このような結果を掲載した記事は、ウォールストリート・ジャーナルでは珍しいことです。

日本の大部分の新聞はそうではないのですが、アメリカの代表的な新聞の立ち位置はしっかりしており、無論、アメリカの国益を第一義として、記事を掲載します。

そのため、この記事の内容やはり、アメリカの国益を代表する見方をしているものと解釈すべきです。

アメリカの立場としては、菅総理に関しては、もうどうして良いのかわからないというのが実情なのだと思います。

そうして、それは、菅総理だけではなく、民主党に対しても同じような感覚を持っているのだと思います。アメリカの国益からすると、戦中は、アメリカを相手に4年近くも、戦い続け、アメリカにも甚大な被害をもたらした、日本については、戦後ずっと、日本の弱体化を良しとしてきたのですが、それにしても、民主党はあまりに酷すぎて、このままだと、日本が弱体化されすぎてしまって、アメリカの国益すらも損ないかねないとの判断をしているのだと思います。

これに関しては、やはり先日もこのブログで紹介したウォルストーリート・ジャーナルの記事『不屈の日本』という記事ににもありありと現れていました。

この記事では、「11日の地震の壊滅的な影響にもかかわらず、近代国家としての日本の業績がもたらす自国を守るという恩恵は指摘せずにはいられない」と結んでいました。とにかく、日本はすぐに復興するだろうとの期待感を表明していました。日本を弱体化させたいというのなら、もっと指摘事項があり、表面づらは別として、もっと社会不安を煽る論調になったものと思います。しかし、それをやってしまっては、さらに弱体化して、それこそ、北朝鮮、中国、ロシアなどの隣国につけいる隙を与えてしまい、アメリカの国益を損ねるという判断があったものと思います。

この流れは、しばらく続いていおり、そのうちもっとも鮮明なものは、以前このブログでも掲載した、米国の議会調査局が2010年10月に作成した日米関係についての報告「日米関係=米国議会にとっての諸課題」の記述に見ることができます。この報告書の内容をみるまでもなく、すでにアメリカでは、「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派になっているということです。

いうまでもなく、今の日本国憲法は、日本がまだアメリカの占領下にあった、特殊な時期にアメリカの意図によって作成されたものです。この憲法制定によって、当時のアメリカの日本弱体化政策は、成就され、戦後60年以上にわたり、日本はアメリカの意図どおりに弱体化されてきたわけです。

しかし、戦後60年以上経て、この憲法がもたらしたのが、以前の自民党政権による腐敗と、現在の民主党政権による政権交代です。この憲法のもとでは、いずれ、民主党政権のような政権ができあがってしまうのは、自然な成り行きだったのだと思います。

しかし、日本がこれほど弱体してしまえば、それこそ、日本の主権がおびやかされ、中国や、ロシアや、北朝鮮のような隣国のやりたい放題となってしまます。中国など、日本を傘下におさめてしまうことも考えられます。このブログでも、以前中国長期国家戦略では、日本は、中国の

そうなれば、アメリカの国益は完全におかされてしまうわけです。だから、こそ、最近では、日本を弱体化一辺倒というよりは、日本をもう少し強くして、頼りになるパートナーとすることが、アメリカの国益に沿うものだあるという考えが、アメリカの議会でも多数派になってきているのだと思います。

日本の国民の益にもならない、アメリカの国益も損なう、民主党政権に明日はないと思います。まだ、選挙速報などみていませんが、今回の統一地方選挙も民主党が一方的にぼろ負けしていると思います。

アメリカの有力紙など、アメリカの国益を代表しているという姿勢は、一環していますから、非常に理解しやすいです。それに、記者などの技量が高いです。だから、日本のことを知ろうとした場合、かえって、解りやすいです。皆さんも、日本の新聞だけ読んでいると、判断がにぶるし、それに経済などとくに勉強不足が目立ちます。だから、ウォールストリート・ジャーナルのような、新聞も読んでみる価値があると思います。ただし、それらは、すべてアメリカの国益を優先していることを前提として読むと良いと思います。

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by the-road-of-japan | 2011-04-12 05:48 | ★政府の動き
2011年 04月 11日

菅首相の官僚外しと原発危機対策

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■菅首相の官僚外しと原発危機対策
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http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_219448
【東京】菅直人首相は、震災で停止した福島第1原子力発電所の危機対応のため、旧来
の官僚主体の指揮系統を排除し、独自にアドバイザーを招請して特別対策チームを設置し
た。このことは、キャリア官僚の怒りを買うとともに危機管理を誤ったとの首相への非難
が強まっている。

Prime Minister Kan, in blue, last week with a Tokyo Electric employee at a sports
complex near the Daiichi plant that houses emergency workers.
 災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原
発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。

 3月11日の地震と津波以降にとった一連の措置を通じ、菅首相は、過去数十年にわたっ
てキャリア官僚が政策策定を主導してきた日本で、国を統治する新たな方法を事実上試運
転しているといえよう。

 だが首相が現地視察に向かったことが過熱した原子炉の爆発を食い止める初動の遅れを
招いたと指摘されている点を含め、自ら陣頭指揮しようとする首相の決意が危機を一層悪
化させたとの批判が起きている。

 菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚
としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、
マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。
実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からない
けれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。

 福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が
火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさ
せる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分け
てあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混
乱を指摘した。

 東電と政府は、震災と事故への初期対応について批判にさらされている。菅首相はそう
したつまずきを、自ら陣頭指揮に当たることを正当化する理由にしてきた。首相周辺によ
れば、断固たる措置をとる以外、首相に選択肢はなかったという。

 菅首相の側近トップである枝野幸男内閣官房長官は取材に対し「今回の災害対策では、
通常の行政システム、時間の掛け方では対応できなかった」とし、政治が従来の手順や段
取りにこだわらず判断することで一定の効果があったと弁明している。

 とりわけ、3月19~20日の週末に東京都の消防隊員を原発の現場に派遣し、使用済み核
燃料棒を貯蔵してあるプールを冷却するため何千トンもの水の放水にあたらせる手を打っ
たことは、菅首相の功績だという。


 首相の危機管理へ直接手を下すやり方は、部内者をも驚かせてきた。地震発生当日から、
菅首相は被災した原発に強い関心を示し、非常用発電機を原発ま で空輸できるかどうか尋
ねたこともあったという。側近の一人、下村健一氏によると、首相は自ら携帯電話をかけ
て、発電機のサイズと重量を問い合わせたとい う。

 民主党は、政治主導を唱えて選挙戦を繰り広げ、2009年に政権をとった。国家的危機の
さなか、官僚主導を排除しようとする菅首相の決意は、官僚主導の日本においては明確に
政治的色合いを帯びている。

 政治的な非難の応酬に距離を置く人々の中にも、菅首相の政治主導の原則を評価する一
方で、その原則を実行に移す際にあまりにも多くのことを自分でやろうとしたことで、つ
まずいた、との見方がある。

 日本大学の政治学者、岩井奉信氏は、「民主党は危機管理のノウハウが弱い」、「素人だっ
たことがマイナスになっている」 と語る。

 菅氏は、1980年に政界入りし、長く野党に身を置いた。96年には厚相として、HIV(ヒ
ト免疫不全ウイルス)に汚染された血液製剤の流通に 関わる隠ぺい工作を暴き、官僚と企
業幹部に責任をとらせた。菅氏には、福島原発事故もまた、大企業と官僚の癒着を物語る
ものと映った。

 99年に制定された原子力災害対策特別措置法は、首相を本部長とする原子力災害対策本
部の設置を定めている。菅首相は、この法律に従って同本部を設 置した。しかし、側近ト
ップの枝野官房長官によると、首相はその後、情報が幾層もの官僚機構をくぐって上がっ
てくるのをただひたすら待たなければならな かったという。

 日本共産党が発表した会談筆記録によると、菅首相は先週、共産党の志位和夫委員長に
対し、「『原子力村』というか、ある種、専門家のギルド的な雰囲気がある」と語っている。

 地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に
東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝え
た。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報
を取って、その場で命令を出せるようにした。

 こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事
前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみ
られる。

 首相サイドは東京都の消防隊の派遣を、新体制が機能している例として挙げているが、
それ以前の、過熱する使用済み燃料プールの冷却を試みて失敗した機動隊高圧放水車の一
件を批判する向きもある。

 元警察官僚で自民党衆議院議員の平沢勝栄氏が首相官邸や一部民主党議員から聞いた話
では、官邸はまず、機動隊放水車を派遣するよう命じたという。平沢氏は、そこは当然官
邸に責任があるとし、放水を専門にしているのが消防であることは子どもでも分かると述
べている。

 四方敬之内閣副広報官は、まず消防を呼ぶべきだったと思った人もいるかもしれないが、
内閣府はその時点時点で最善と思われる措置をとってきたと述べている。

 放射線データ公表の遅れの責任が誰にあるのかについても、双方の言い分は食い違って
いる。政府の原子力安全委員会はようやく23日になって、福島第 1原発周辺20キロ圏内
の避難地域の外でも放射線濃度が高いおそれがあると公表した。このデータ発表を受け、
政府は原発から30キロ圏内の住民に避難 支援を提供することにした。


 首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。

 元官僚で衆議院議員の前出・福島氏は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即
時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表
の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。

 震災翌日12日午前7時ごろの菅首相の福島第1原発視察をめぐっても議論がある。菅首
相は、床の上に毛布にくるまって眠っている作業員の脇を通 り抜けて、小会議室で原発施
設の幹部2人と20分間にわたって会談した。ある側近によると、首相は技術的質問をし、
過熱する原子炉を冷却する方法について アドバイスしたという。

 問題は、この視察のせいで1号機のベント開始が遅れたかどうかだ。原子力安全・保安
院が発表した時系列記録によると、11日午後10時の時点には、 保安院当局者は、翌日早
朝には1号機原子炉内部で炉心が溶け始めると予想し、圧力を下げるための緊急ベント開
始を要求していた。だがベントが始まったの は、菅首相が現場をあとにした数時間後だっ
た。

 菅首相は、視察のせいでベント開始が遅れたことを否定した。政府当局者は、遅れの原
因が、電源喪失後に手動で弁を開くことの難しさと連絡上の問題にあったとしている。

 官僚の不満が募るなか、菅氏の長年のアドバイザーだった北海道大学の政治学者、山口
二郎氏は先週、首相官邸に緊急面会を申し入れ、官邸で40分間会談した。山口氏と同僚の
北大教授は菅首相に、官僚の活用を強く促したという。

 山口氏は首相に、「責任追及をしている時ではないといった」という。同氏によると、菅
首相は、一部始終を伝えてくれないから官僚は信用できないと改めて不満を漏らし、会談
は不本意な結果に終わったという。

 しかし、首相側近はこの助言を受け入れる兆しをみせており、民主党が政権に就いて以
後廃止した事務方トップの会合を復活させた。この会合は目下、震災救援・復興に関する
政策の調整に当たっている。

記者: Yuka Hayashi and Norihiko Shirouzu
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by the-road-of-japan | 2011-04-11 08:44 | ★政府の動き
2011年 04月 03日

2011.4.1 管総理の会見「復興構想会議」の提案

この間、被災を受けられた自治体の市町村長の皆さんと電話などでいろいろと御意見を伺いました。そうした御意見も踏まえて、例えばこれからは山を削って高台に住むところを置き、そして海岸沿いに水産業、漁港などまでは通勤する。更には地域で植物、バイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくる。そこで福祉都市としての性格も持たせる。そうした世界で1つのモデルになるような新たな町づくりを是非、目指してまいりたいと思っております。

 更に復興の中でも雇用の問題が重要であります。この地域はいろいろな部品の工場など、製造業もありますが、同時に農林漁業、特に漁業の盛んな地域であります。何としても1次産業を再生させていく、このことが重要だと考えております。

 こうした復興に向けて、その青写真を描くために、有識者や地元の関係者からなる「復興構想会議」を、震災1か月目となる今月11日までに立ち上げたいと、このように考えております。それとともに、この「復興構想会議」から出されるいろいろな提案や計画を、実行に移すための政府としての態勢づくりに入り、今月中にはその態勢もかためてまいりたいと、このように思っております。

 この普及復興に関しては、野党の皆さんも積極的に協力を申し出ていただいておりますので、与野党超えて協力をして推し進める態勢をつくっていくことを考えており、また、そうなることを私としては切望をいたしております。

 次に、福島原発についてであります。この原子力事故に対しては3つの原則に立ってこれまでも取組み、これからも取り組んでまいります。

 その第一は、何よりも住民、国民の健康そして安全を最優先して事に当たる。このことであります。

 第二には、そこまでやらなくてもよかっただろうと言われるぐらいに、しっかりとリスクマネジメントをして対応していくということであります。

 そして第三には、あらゆる起こり得ることについてきちんとシナリオを予想し、それらに対してどういう状況が起きても、きちんと対処できるような態勢をつくっていくということであります。

 この3つの原則に立って現在、対応を進めているところであります。

 福島原発を安定状態に戻すため、現在2つの力を結集して対応を進めております。

 1つは言うまでもありません。政府、そして事業者である東京電力や関連企業、更には原子力委員会など、専門家の皆さん総力をあげ協力をして、この問題に取り組んでいただいている、あるいは取り組んでおります。

 もう一つは国際的な協力であります。特にアメリカの関係者は既に事故対策に本格的に加わっていただき、共同作業に入っていただいております。また、オバマ大統領も先日の電話対談で、改めて全面的な協力を約束いただきました。昨日来日されたサルコジ大統領は、原発先進国としてフランスの関係者による協力に加えて、G8、G20の議長として、そうした立場での協力を申し出ていただきました。

 更にIAEAも既に専門家を派遣いただいて、いろいろと対応をいただいております。この福島原発については、長期戦も覚悟して、必ず勝ち抜いていく。その覚悟をもって臨んでまいります。国民の皆様にもいろいろと御不便をおかけいたしますけれども、必ずこの問題に打ち勝って、安心できる体制に戻していくことをお約束いたしたいと思います。

 次に、この震災発生から3週間の中で、私は本当にある意味でこの悲惨な震災ではありますけれども、一方で、大変心を揺さぶられるような姿を今、見ております。それは日本の中で、そして世界の中で、私たち日本のこの危機に対して、連帯して取り組もうという、そういう機運が非常に高まっていることであります。

 国内でも、ややもすれば日本では人と人との絆が薄れてきたと言われてきましたけれども、今回の震災に関しては、自治体の皆さん、企業の皆さん、NPOの皆さん、そして個々人が自らの意思で何とか支援をしよう、協力をしよう、立ち上がっていただいております。私はこうした人々のきずなが改めて強く結ばれ、その結び付きが広がっていることは、日本の新しいすばらしい未来を予感されるもの。必ずやすばらしい未来を勝ち取ることができると確信をいたしております。

 災害について多くの随筆を残した物理学者の寺田寅彦さんは、日本人を日本人らしくしたのは神代から今日まで根気よく続けられてきた災害教育だと、その随筆の中で述べておられます。

 私は、今回の「東日本大震災」を乗り越える中で、日本人が改めて絆を取り戻し、そしてすばらしい日本を再生することができると確認いたしております。そしてその中で私自身、そして私の内閣は、皆さんの先頭に立って全力を挙げて頑張り抜くことをお約束を申し上げて、この記者会見冒頭の発言とさせていただきます。
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by the-road-of-japan | 2011-04-03 05:37 | ★政府の動き