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2011年 06月 07日

東海大学チャレンジセンター「3.11生活復興支援プロジェクト」 応急住宅「どんぐりハウス」 1

杉本洋文(東海大学教授)氏のプロジェクト

1:プロジェクトの概要

このプロジェクトは、今回の震災直後に企画し、東海大学チャレンジセンターの「特別プロジェクト」に認定され、組織、資金など準備を整えながら活動を開始している。大学は全国にキャンパスを展開し、多彩な人材とネットワークが備わり、多様なリソースを活用・連携させて立ち上げた。大学の学生を主体に、教員・卒業生・外部専門家等が協働し、それぞれの役割を担いながら「プロデュースチーム」、「応急住宅チーム」、「ライフメディアチーム」、「コミュ二ティケアチーム」の4つのグループで活動を組み立てている。
最初に、全体の司令塔となる「プロデュースチーム」を立ち上げ、企画、調整・資金・広報を担当し、次に、時間の必要な「応急住宅チーム」の資材調達、設計活動を始め、ふたつの「ライフメディアチーム」と「コミュ二ティケアチーム」のソフトチームは、これまでのセンターでの活動を見直し、振り替えられるプロジェクトを選考して組み立てている。新年度早々に本格的な活動に向け、まさしく走りながら推進している。

2:木造応急住宅の背景

中でも応急住宅は、4年間の活動実績を持っている「平塚ビーチハウスプロジェクト」(新建築0910・1103)を、急遽「応急住宅プロジェクト」に変更した。
そもそも、この「平塚ビーチハウスプロジェクト」は、2004年の新潟県中越地震時に、神奈川県県西部の森林・林業関係者で構成された「森林再生フォーラム」に「丹沢・足柄まごころハウス」を提案した経緯からスタートしている。この時には、学生と一緒に設計・建設を担当して、多くの経験を得ることができた。
そして、日常的にこうした活動を学ぶ場が必要と考え、2007年度から大学1年生の「建築デザイン2・同演習」の最終課題で取り組み、次年度の4年生が中心となって実現させる仕組みである。これにより、毎年、新しいビーチハウスが建設され、多くのノウハウを蓄えることができた。さらにグッドデザイン賞受賞などの外部評価も得られ、プロジェクトの体制づくりができつつあった。
今年度の準備中に震災が起こり、直ぐに活動内容を変更した。新潟県中越地震の応急住宅の建築システムを検討した結果、合板や金物などの資材不足への対応、加工技術の簡素化を考える必要があった。そこで、私が既に研究して実績のある製材の木材を活用した「ウッドブロック構法」に着目して、設計を開始した。現在、設計が完了して、部材の試作でチェックを行い、建設準備段階に入っている。


3:森林資源を活用して海手の町を山手の町が支援

今回、応急住宅を木造で計画したのは、現在の日本の森林・林業に注目しているからで、昨年、国は公共建築を木造化する法律を成立し、今年度から本格的な普及へ向けてスタートしおり、森林資源の活用が求められていると考えたからだ。本来、こうした事態に備え、事前準備を整えておくべきでであった。今回こそが実現をさせる絶好の機会である。そこで、私たちのような研究者で建築家が先鞭をきる役割だと考え、早期に取り組んだ。
今回の災害地は、森林資源が豊富な地域であり、環境に優しい復興と森林再生と被災者就業支援を一挙に実現させる仕組みづくりが大切で、多くの知恵を結集しなければならない。国土緑化推進機構がスタートさせた活動との連携や支援を統合して活動を拡げて行く活動も同時に行っている。
今回の震災は、国内ではかつて経験のしたことのない未曾有の規模と内容なので、これまでの復興とは異なった視点に立つ必要があり、豊富にある森林資源を活用し、森林・林業の再生を実現させ、環境循環型の社会構造への転換の機会にすべきで、東北地域こそ、そうしたエコの先進地として復興させ、地球規模で注目されていることに対して、日本の答えとして示して行きたい。

4:応急住宅「どんぐりハウス」

このシステムは間伐材に注目して、主にスギ材をイメージして計画した。応急住宅は、さまざまな基準から、規模は約9坪以下で、予算は240万円以下を目標としている。建築システムには、国産材90mm角で長さ3mを使い、ビス止めを基本とした「ウッドブロック構法」である。
9坪を、3間×3間で計画し、住宅を始め、ボランテアセンターなど、多様な用途に活用できるオープンプランとしている。そして、応急住宅と言えども、今度の震災の経験からエコシステムを備えた環境に優しい設備システムを同時に導入して、新たなライフスタイルを実現できる建築システムとした。現在、山手の町に集団移住する計画も持ち上がっており、この応急住宅で被災地の仮設村計画や移住村計画も同時に検討している。 
今回は、豊富な森林資源を活用した「なりわい(生業)の循環」が生まれる仕組みづくりが、生活復興にとって重要な視点だと考える。
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by the-road-of-japan | 2011-06-07 06:49 | ?復興住宅への提言/アーカイブ


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